クローン技術は、遺伝的に同一な個体を多数生産しうる技術であり、畜産分野でも改良増殖の効率化、飼養試験の精度向上などを図ることのできる技術として、期待が寄せられている技術です。 岐阜県畜産研究所飛騨牛研究部では、平成元年度からクローン技術に関する研究を開始し、平成5年に最初の受精卵クローン子牛の生産に成功、これまでに7頭の受精卵クローン牛を生産しました。 また、1997年にイギリスで世界初の体細胞クローン羊”ドリー”誕生が発表されたのを受け、当研究所でも1998年に体細胞クローン技術の研究を開始しています。 1999年には、岐阜県の基幹種雄牛として活躍中の「飛騨白清」の母牛「第8はくさん」の死亡時に採取した細胞からクローン胚を生産し、翌年2000年には「第8はくさん」のクローン牛3頭の生産に成功しました。残念ながらこのうち2頭は生後まもなく死亡してしまいましたが、1頭は現在も生存し、当研究所に繋養されています。 体細胞クローン技術は、能力の明らかとなった個体のクローンが作出できること、核として使用するドナー細胞が大量に確保できることなどの利点がありますが、未だその生産効率は低く、技術的な問題も残されています。 そこで当研究所では、体細胞クローン技術の生産性を向上させ、和牛の改良増殖への利用を図っていくため、以下のような研究に取り組んでいます。 ・効率的な体細胞クローン胚作成技術に関する研究 |
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核移植作業風景。
マイクロマニピュレーターにより、非常に小さい牛の卵子を、顕微鏡を覗きながら操作しています。 |
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顕微鏡で覗いた卵子。電極やガラスで作成した針などを用いて核移植の操作を行います。
左上:透明帯の切開 右上:卵子核の押し出し 左下:ドナー細胞の導入 右下:融合処理 |
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「第8はくさん」。
基幹種雄牛「飛騨白清」の母親。平成11年5月に11歳5ヶ月で死亡しました。 |
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「みれにあむひだ」。
「第8はくさん」の死亡時に採取した細胞から作られた体細胞クローン牛。 現在のところ、発育性・繁殖性について、異常は認められていません。これまでに、人工授精産子を1頭正常分娩し、現在、2頭目を受胎しています。 |
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ロシアでのマンモス発掘作業風景。
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