バイオ技術を活用した高能力乳用牛群作出に関する研究

1.研究の背景と目標
畜産物の自由化、産地間競争の激化等により、酪農家は泌乳能力が高く、乳器、肢蹄等の機能性に優れた耐用性の高い乳牛を、消費者は安心・安全で蛋白質の多い、美味しい県内産牛乳を求めています。
これら酪農家及び消費者の要望に応えるため、優良な遺伝資源を導入し、雌雄判別等のバイオ技術を活用して、効率的でスピーディな乳牛改良により、生産性が高く美味しい牛乳を生産する高能力乳用牛群の作出研究を推進し、県の乳用牛改良目標達成推進と酪農振興に寄与します。
 
2.主な成果
 1)世界トップレベルの優良遺伝資源(受精卵)
   を導入
 平成8年〜10年度にかけて乳牛の改良先進地である北米から78個の受精卵を導入し、極めて高い受胎率(71.8% 全国平均は46%)により21頭の雌産子を確保しました。

 2)研究部内での高能力乳用牛の増殖
 輸入受精卵産子及びその娘牛を雌雄判別技術等を利用しながら増殖しました。

3)輸入受精卵産子及びその娘牛の産乳能力
 産乳能力検定の結果、非常に優れた遺伝改良能力を有することが証明されました。
 畜産研究所酪農研究部の経産牛一頭あたりの乳量は平成9年の8733Kgから平成 16年2月10,312Kgまで向上しました。





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 マウントヒル ライスクレスト トロル号は改良の成果を象徴する乳牛です(本牛の生んだ雄子牛は種雄牛候補として譲渡予定)。
 さらに本牛に匹敵すると期待される乳牛を引き続き生産しています。


 部内牛群の改良推進と平行して、雌雄判別技術の実用化のための研究を兼ねて部内高能力乳用牛群から採取した受精卵(雌受精卵)を酪農家に移植しており、現在までに34頭の産子が誕生しています。


 上記産子の酪農家での産乳が始まっており、(マウントヒル ライスクレスト トロル号の姉妹も酪農家で産乳を開始)、酪農家での高能力牛群化が大いに期待出来ます。