トウモロコシ栽培において被覆尿素は環境面やコスト面で優れている
 

被覆尿素は、球状尿素を被覆したもので窒素濃度が約42%の緩効性肥料です。これの70日型のものをトウモロコシ栽培(不耕起、堆肥無散布のほ場使用)で<図1>の位置へ窒素量でa当たり1kgあるいは2kg施肥しました。その結果、被覆尿素は<図2>のように溶出していました。土壌水中の硝酸態窒素濃度は、窒素施肥量がa当たり2kgでは地下30cmで最高値が40ppm以下<図3>、地下50cmで最高値が15ppm以下<図4>でありました。この結果から、地下1mでは土壌水の硝酸態窒素濃度は水質基準値の10ppm以下になるであろうと推察されました。しかも、乾物収量は、1kg区と2kg区の間で差がなかった<図5>ことから被覆尿素の場合はa当たり1kgの施肥量で十分であると考えられました。また、栽培に要する肥料代について、牛糞堆肥4tと被覆尿素の併用で栽培した場合と牛糞堆肥4tと化成肥料の併用で栽培した場合を試算してみますと、前者の方が後者より安価でありました<表1>。     
                          
                                  


図1 被覆尿素の施肥位置及び土壌水採取器の
    設置位置













          図2 窒素溶出率の推移
                                      
 
70日型とは、25℃の土壌中において成分窒素の80%が溶出するのに約70日かかることを示しています。従って、気温の低い地域は暖かい地域に比べて溶出期間が長くかかります

   垂直バーは標準誤差を示す。          垂直バーは標準誤差を示す。
図3 地下30cmの土壌水の硝酸態窒素含量 図4 地下50cmの土壌水の硝酸態窒素含量














      図5 乾物収量の比較